子の髪のつややかメリークリスマス 林 誠司
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クリスマスが近づくと必ず思い出す、大好きな句。
家族で過ごすクリスマスの夜、吾が子のつややかな髪に
作者の視線が注がれている。その子どもとは、まだサンタクロース
の存在を信じているくらいの年頃の子。
無邪気に父のもとに寄り来る、そんな子供の姿が見えてくる。
子供の髪は無垢でみな艶やかだが、団欒の灯や聖樹の灯に照らされて
まるで天使がいるかのように、より一層輝いて見えたことだろう。
「子の髪のつややか」にはまた、吾が子の健やかな成長を喜ぶ、
作者の親としての思いが籠められている。
この句を思うと、季語の取り合わせがいかに大切かということに気付く。
「子の髪のつややか」という表現をこれほどまでに魅力的に感じたのは、
「クリスマス」という季語で詠まれているからだ。
しかも「メリークリスマス」としたのは実に新鮮で、
「メリークリスマス!!」と言っている声が聞こえてくるかのよう。
くちずさむたびに、幸せと優しさがこの句からは溢れてくる。