2010年11月14日

 

生きるの大好き冬のはじめが春に似て    池田澄子

 

(いきるのだいすき ふゆのはじめが はるににて)

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小春日和も今日あたりまでで、

来週からは天気も崩れて冷え込みが厳しくなるらしい。

 

この句も小春日和を詠んだ句だ。

冬のはじめの暖かさを、そのまま素直に言っている。

「生きるの大好き」も「冬のはじめが春に似て」も表現は子供みたいに

素直で無邪気な感じがするけれど、なんだかこの句は深いなあと思う。

子供でもなく、若者でもなく、ある程度人生を経験した人でないと

たぶんこの季節は選べない。

春の穏やかさでなく、夏の力強さでなく、秋の爽やかさでもなく、

ましてや冬の厳しさでもなく、冬に入りたての微笑むような陽気に

出会えた思いもかけぬうれしさ。

もちろん、小春の浮き立った気分が「生きるの大好き」と素直に言わせた

句と鑑賞してもいいのだけれど、冬のはじめが春に似ていると言った作者の

言葉の中に、どこか人生の面白さみたいなものを感じさせてくれるのである。

そしてその面白さが「生きるの大好き」という思いを輝かせているように思う。

 

 

 


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