2010年10月27日

 

帰るのはそこ晩秋の大きな木    坪内稔典

 

(かえるのはそこ ばんしゅうの おおきなき)

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関西では木枯し一号が吹き、北海道では初雪と一気に冬の装い。

今年の秋は駆け抜けるように過ぎていきそうです。

「~年以来の」という真夏日や早い冠雪の気象ニュースが自然の警告のようにも

聞こえます。人がいなくなって、ふたたび地球が緑に覆われて新たに再生してゆく

そんな時が来るのもそう遠い未来ではないのかもしれません。

人は地球を消耗させすぎましたから。

 

今は晩秋。行く秋を惜しんで、冬の訪れを身に感じる季節。

帰るのはそこ、というのはずーっと同じ場所で帰りを待っていてくれたかのような大きな木。

「晩秋」がとても心に響いてくるのは、人生の季節をその言葉に重ねるからだろう。

晩秋の大きな木。そこには羽をたたむ大きなやすらぎだけがある。

だからこそ、そこに帰ってゆこうとするのだ。

晩秋の大きな木。このゆるぎない存在を、誰もが持っているのだろうか。

 

 


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