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2010年12月29日

 

羽音もう聞こえぬ高み風邪心地     髙柳克弘

 

(はおともう きこえぬたかみ かぜごこち)

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 風邪心地というよりも、よくなったかと思うとまたぶり返す風邪に

困っていますが、風邪を引くといつも思い出す一句。

 

風邪の引き始めのだんだんと五感が遠のいていく感じと

薄れゆく羽音がよく響き合っているところがいい。

もっといいと思うところは「高み」としたところ。ここが巧い。

それによって、しっかりと映像として大空を羽ばたいてゆく

鳥の姿が見えてくる。聴覚のみでは鳥の姿が見えてこない。

「高み」という浮遊感覚も風邪心地の季語をより魅力的に生かしている。

空を見上げ、遠ざかりゆく鳥の姿を目で追いながら、どこか自分だけが

取り残されてしまったような気分。風邪心地にはそんな淋しささえも滲む。

 

2010年12月22日

 

動かして柚子湯の香りあらたまる      由季

 

 

 

2010年12月21日

 

柚子風呂に妻をりて音小止みなし    飴山 實

 

(ゆずぶろに つまおりておとこやみなし)

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明日は冬至。二十四節気の一つで、昼の時間が一年で最も短い。

冬至の日には、無病息災を願って冬至南瓜を食べたり、柚子湯に入る。

湯舟に浮かぶ柚子の明るい黄色と湯気とともに立ち上がる清々しい香。

湯舟に浸かるだけで不思議と身が改まる心地がするものだ。

柚子湯というと、その香や色彩が詠まれがちだが、掲句は「小止みなし」

と音に注目して詠まれているところがいい。

少し長いお風呂で心配をしたのかもしれない。耳を澄ますとちゃぷちゃぷと

いう音が風呂場から聞こえてくる。その音は、柚子を動かしては香りを楽し

んでいる妻の姿を想像させる。「音小止みなし」にはその音を聞きながら

安堵している作者の姿が見えてくる。

そしてそんな妻の姿を愛おしく思うやさしい気持ちが同時に感じられるのである。

 

 

2010年11月26日

 

白鳥に似てセーターの厚き胸     由季

 

(はくちょうににて せーたーのあつきむね)

 

 

 


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