2010年12月29日

 

羽音もう聞こえぬ高み風邪心地     髙柳克弘

 

(はおともう きこえぬたかみ かぜごこち)

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 風邪心地というよりも、よくなったかと思うとまたぶり返す風邪に

困っていますが、風邪を引くといつも思い出す一句。

 

風邪の引き始めのだんだんと五感が遠のいていく感じと

薄れゆく羽音がよく響き合っているところがいい。

もっといいと思うところは「高み」としたところ。ここが巧い。

それによって、しっかりと映像として大空を羽ばたいてゆく

鳥の姿が見えてくる。聴覚のみでは鳥の姿が見えてこない。

「高み」という浮遊感覚も風邪心地の季語をより魅力的に生かしている。

空を見上げ、遠ざかりゆく鳥の姿を目で追いながら、どこか自分だけが

取り残されてしまったような気分。風邪心地にはそんな淋しささえも滲む。

 


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