2010年12月27日

 

数へ日の欠かしもならず義理ひとつ    富安風生

 

(かぞえびの かかしもならず ぎりひとつ)

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「数へ日」とは年内も残りわずかとなり、指折り数えるほどの日数となる頃のこと。

指折り、というのだから十日も切れば数え日といってもいいのだろうが、

実感としてはあと四、五日という頃だろう。年内に済ませておくことを

こなしつつ、新年を迎える用意も抜かりなく、という年の瀬の慌しい頃だ。

そういえば、「もういくつ寝るとお正月~」という歌があったけれど、

最近ではあまり聞いたことがない。この歌に歌われているお正月の風景は

もうどこか遠い世界のようだ。

歌の中では来る年を今か今かと心待ちにしながら残りの日数を数えているが、

「数へ日」のそれは、ゆく年を惜しむ感慨でもある。

 

特別に世話になった人なのだろう。年の瀬の慌しさの中、他のことは不義理を

しても、そのことだけは欠かすことなく続けている義理。

具体的なことは何も言ってはいないけれど、「義理ひとつ」には

世話になった方が亡くなったあとも、その奥様への歳暮のご挨拶は欠かさずに

伺う、というような義理を想像させる。それは日本人の心からだんだんと薄れて

いきつつある義理ではないか。それほどに「ひとつ」の一語は、作者の特別な

思いを感じさせるのである。

 

 

 


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