2010年12月27日

 

数へ日の欠かしもならず義理ひとつ    富安風生

 

(かぞえびの かかしもならず ぎりひとつ)

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 特別に世話になった人なのだろう。年の瀬の慌しさの中、他のことは不義理を

しても、そのことだけは欠かすことなく続けている義理。

具体的なことは何も言ってはいないけれど、「義理ひとつ」には

世話になった方が亡くなったあとも、その奥様への歳暮のご挨拶は欠かさずに

伺う、というような義理を想像させる。それは日本人の心からだんだんと薄れて

いきつつある義理ではないか。それほどに「ひとつ」の一語は、作者の特別な

思いを感じさせるのである。

 

 

 


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