しんしんと寒さが楽し歩みゆく 星野立子
(しんしんとさむさがたのしあゆみゆく)
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しんしんと寒さの募る日には、この句を口ずさむと元気が出る。
寒さの中にいると、体が縮こまってくるけれど、
この句は背筋を伸ばしながら、颯爽と歩いていく感じだ。
乾いた風がびゅうびゅうと吹きつけてくる寒さではなく、
少し湿り気があって、身に吸いつくような冬の寒さ。
「しんしん」というあたりに、そんな寒さを感じさせる。
それにしても、「寒さが楽し」と素直に言ってしまうところがいい。
そして寒さが楽しいと言えることは、とっても素敵だ。
寒さを厭わず前を向いてしっかり歩いてゆく。
深読みする必要はないが、この句には立子の人生に対する
向き合い方が出ているように思う。