2010年12月12日

 

何求めて冬帽行くや切通し     角川源義

 

(なにとめて ふゆぼうゆくや きりとおし)

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「切通し」とは、山や丘などを切り開いて、交通が出来るようにした道。

鎌倉の山を歩いていると、掘削のあとの岩肌がむき出しになっている

切通しに出合う。まわりの木々に日を遮られてどことなく暗くて、

一人で通るのはちょっと躊躇われるようなところもある。

その切通しをひとり行く人がいる。

何のためにこんなところを抜けていくのだろうか。

「冬帽」に象徴された人物の孤独を感じる句だ。

切通しを抜ける冷たい風をも感じる。

「何求めて冬帽行くや」と作者は言うけれど、作者もまた同じなのである。

作者自身の人知れぬ孤独がそう言わせたのであろう。

 

 

 

 


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