2010年12月 4日

 

完璧なまでの省略大冬木   日下野仁美

 

(かんぺきなまでのしょうりゃく おおふゆき)

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好きな季節があるように、季語にも好みの季語というものがある。

私にとって「冬木」は気に入りの季語のひとつ。

「ふゆき」と口に出すだけで、言葉に宿っている詩が立ち現れて

くるようなところが好きだ。

 

葉を落として枝ばかりになった大樹。

そのシンプルな立ち姿を「省略」と捉えた。

省略というと不完全で中途半端な印象があるが、

冬木の場合はそれが完全形。

しかも「完璧なまでの」と駄目押しのように言ったところが

この句の面白さだ。枝を存分に広げて堂々と立つ

この上なく完璧な冬木の大樹が見えてくる。

 

 


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