花薄風のもつれは風が解く 福田蓼汀
(はなすすき かぜのもつれは かぜがとく)
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花薄は穂が出て花の開いた薄。
穂のところが少しふわふわとして、日のひかりを明るく透す。
風に吹かれてもつれた薄を、つぎの風がやさしくほぐす。
「風」のリフレインが心地よく、表現の巧さには脱帽するが、
人の手の及ばぬ自然の摂理をも感じさせてその懐は深い。
― 風のもつれは風が解く ―
読むたびに、薄を渡るさわさわとした風の音が聞こえる。