花待てば花咲けば来る虚子忌かな 深見けん二
明日4月8日はお釈迦様の生まれた日を祝う花祭。
そして虚子の忌日。
この二つはひとくくりに覚えているので、忘れることがない。
<ねがはくは花のしたにて春死なんそのきさらぎのもちづきのころ>
と詠んだ西行は、その歌と違わずに陰暦2月16日の釈迦涅槃の日に入寂した
と云われるが、虚子は釈迦が誕生した日に世を去った。
自ら選んだわけではないのに、凡人にはない何物かの力を感じずにはいられない。
掲句、膨らみかけた桜の莟にまもなく近づいてくる虚子の忌日を思い、
心の準備をして、そしてその日を迎える。
「花待てば花咲けば来る」からは作者にとって虚子の忌日がいかに大きく、
そして大切なものであるかが伝わってくるのである。
なんとも美しく、尊い師弟愛だと思う。