木の芽出づささくれ浪に安房の岬 角川源義
(このめいず ささくれなみに あわのさき)
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安房は今の千葉県の南端のあたり。
「ささくれ浪」というのが何ともいい。
ささくれ、という響きは痛そうだが、景としては卯波ほどでなく、
ささくれほどにところどころ白波がたっているのだ。
春先の風の強さを彷彿とさせつつも、春ならではの軽さを
感じさせるところがある。春とはいえ、海風はまだ肌に冷たいことだろう。
木の芽がつんつんと出はじめる頃の春浅き自然の息吹が
岬の景にうまく描きとられている。