2011年2月 3日

 

凍雪を踏んで柊挿しにけり    高野素十

 

(いてゆきを ふんでひいらぎ さしにけり)

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今日は節分。冬と春の季節を分ける日です。

節分の翌日は立春で暦の上では春になります。

節分と言えば豆撒き。

家族みんなで「鬼は外、福は内」と言いながら豆を撒く。

季節の変わり目は邪気が入りやすいのだそうです。

だから「鬼は外」の鬼は邪気でそれを払うために豆を撒くのですね。

豆を買うとついてくる鬼の面って昔話に出てくる鬼みたいで、

季節の変わり目とあの赤鬼の姿があまり繫がらなかったのですが、

邪気を見た目にわかり易いように鬼の姿に転じたものなのでしょう、恐らく。

 

「柊挿す」というのも節分の行事。

焼いた鰯の頭や柊を戸口に挿し、その匂いや刺で邪気を払うというもの。

テレビで見たことがあるくらいで、実際にしたことも見た事もありませんが、

豆撒きよりももっと古き良き伝統行事という感じがします。

でも、焼いた鰯の頭を玄関に挿しておくのは都会ではちょっと難しそう。

なにしろ邪気を払うほどの匂いなのですから ^^;

 

掲句は雪の残る中で迎えた節分。

凍雪を踏んで邪気を払うための柊を挿した。

ただそれだけの景ですが、その静けさの中に、

日々の暮らしぶりというか心のあり方のようなものが

感じられて余韻のある句です。

 

 

 

 


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