天地の息合ひて激し雪降らす 野澤節子
(あめつちの いきあいてはげし ゆきふらす)
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北では雪が猛威をふるっている。
雪しまく、という言葉があるが、そんな雪の景を思う。
節子の迸る詩情が捉えた、激しい雪の景。
「天地の息合ひて」というスケールの大きさには圧倒される。
人智で測ることのできぬ自然の力と、そこに少しく滲む官能。
「激し」とは雪の激しさとともに、節子の内に抱えるなにものかの激しさでもあるのだろう。
なにものか、と言ったのはありきたりに限定したくないという思いがあるからだが、
例えばそこに、カリエスを患って寝たきりとなっていた節子の生への強い希求が
あるといえば、言えなくもない。
自らのうちに鬱屈した何かを抱えているとき、
外側の激しさは時にそんな何かを薄れさせ、癒してくれることがある。
「天地の息」が激しくぶつかって降らしくるその雪は、なにものかを癒すかに
しずかにしずかに降りつづいているようにも思う。