寒禽の強く短く枝渡る 山田節子
(かんきんの つよくみじかく えだわたる)
................................................................................................
冬の清澄な大気を切るように、俊敏に動く冬の鳥。
冬はその寒さゆえか、野性に生きるものたちの命が
より一層輝いているように見える。
枝を渡りゆく姿にさえも心を奪われてしまうのは、
そこに光るものを感じたからだろう。
その光とは生きる強さといってもいい。
「強く短く」には寒禽の命そのものが詠みとめられている。
作者は「海」の大先輩。私が入会した頃に同人会長をされていたが、
間もなくして病に倒れ世を去られた。若輩ものの私をいつも優しく迎え入れて
くださったその穏やかなお顔が今でも浮んでくるが、俳句が大好きで、あとあと
聞いた話では、「俳句の鬼」と言われていたという。
一度も句座をともにしないうちに逝かれてしまったことが残念だ。
「俳句の鬼」。そんな風に言われる人はいくらも居ないだろう。
惜しい人を亡くしたものだと、今しみじみと思う。
