秋蝶の驚きやすきつばさかな 原 石鼎
(あきちょうの おどろきやすき つばさかな)
秋蝶は秋になっても飛んでいる蝶。
秋に飛んでいる蝶は紋白蝶やムラサキシジミなど小ぶりな蝶が多いので、
「つばさ」というと少し大袈裟なようにも思えるが、
そこに作者の捉えた対象の存在の大きさが表現されているのだろう。
秋は空気が澄んでいるので、人も物音に敏感になる。
「驚きやすきつばさかな」にはそんな秋の気配の中を飛んでいる
蝶の姿が鮮明に描かれている。
人影や少しの風にも敏感に反応して飛び立ってゆく蝶。
「驚きやすき」という言葉に、作者の秋蝶に寄り添う心が
見えるようにも思う。