露草も露のちからの花ひらく 飯田龍太
(つゆくさも つゆのちからの はなひらく)
しっとりと濡れているような瑠璃色の花をひらく露草。
朝の濡れた空気のなかで、その色はもっとも美しくかがやく。
徳富蘆花は露草の美しさを喩えて言う。
つゆ草を花と思ふは誤りである。
花では無い、あれは色に出た露の精である。
『みみずのたはごと』
露草というはかない名前をつけられたその花も、
露ほどのはかないちからで花を咲かせている。
「露のちから」とは、はかなさに秘められた強さだ。
そして、それは露草のいのちそのものを言いとめている。