ゆつくりと翡翠の色や薺粥 由季
2011年1月 7日
2011年1月 4日
春著着て手にするものに飽きやすく 阪西敦子
(はるぎきて てにするものに あきやすく)
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春著は新春に着るために新しく作った晴着のこと。
現代の生活では薄れゆきつつあるが、着物を新調とまでは
いかなくても、新年を迎える気持ちとともに、身につける
ものも新しくしたいという思いはある。
もちろん現代でも初詣などで晴着を着ている人に出会うことが
あるが、やはり正月の晴着はいいものだ。
掲句、春著という華やかなものを身にまとって、どこか気がそぞろ
になっている感じが「手にするものに飽きやすく」から伝わってくる。
「飽きやすく」は別につまらないからではない。
飽きやすいのは意識がそこに集中しないからだ。華やぎのなかの
そわそわしたあの何とも言えぬ感覚が巧く捉えられていて、
着ている女性の心のうちまでもそこはかとなく伝わってくる。