2011年5月26日

 

水鏡してあぢさゐのけふの色       上田五千石

 

(みずかがみして あじさいの きょうのいろ)

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紫陽花の花が色づき始めた。

どの花でも咲く前と咲いた後では気づき方が違うけれど、

紫陽花の咲き方はとりわけ、その差に驚く。鞠となる花が大きいからか、

突如としてそこに現れたような、そんな不思議な思いがするのだ。

紫陽花はまた咲き始めと終り頃では色が変わる。それが「七変化」とも

言われる由来で、だんだんと色づくその色彩は水彩画のグラデーションのよう。

「水鏡」とは水に鏡のように物が映ること。

水鏡という毀れやすいもにに、紫陽花の「けふの色」が映っている

というところがいい。そう言われることによって、明日はもう違う色を

見せているのかもしれないという、命の移ろいを意識させるからだ。

「けふの色」は今日しか見ることのできないもの。

忙しい日々の中で、そんな当たり前のことをつい忘れてしまいそうになる。

この句は、詠みとめられた美しさの中に、「いま、ここ」に心を留めることの

大切さを気付かせてくれるのだ。

 

 

 

 


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