2011年3月 8日

 

来て見ればほゝけちらして猫柳    細見綾子

 

(きてみれば ほうけちらして ねこやなぎ)

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川辺にある猫柳。早春、春の訪れを告げるように花穂を出しはじめる。

あたたかい日差しに誘われて近くの川べりを歩いたのだろう。

猫柳がここにあることを知っていたのかもしれない。

来てみたら、猫柳がほうけちらしていたという素直な気持が

そのまま一句になっている。

「ほほけちらして」は漢字で書けば「惚け散らして」ということ。

あの銀白色の花穂がしだいにほうけて、白っぽくぼんやりした花穂に

なるものだと思っていたのだが、調べてみたら違っていた。

猫柳は雌雄異株で、銀色の花穂は雄花で、惚けたように見える

白っぽい花穂は雌花だった。

「ほゝけちらして」と感じたのは雌花の花穂だ。

綾子がそれを知っていたかどうかは分からないけれど、

この句においてはそのことはあまり重要ではない。

惚けちらした、あまり美しくもない猫柳の姿をそのまま詠んだところが

この句の良さなのだから。

飾らない表現が、俳句の上では深く心に残ったりするものだ。

何ということもないのに、忘れない一句のひとつ。

 

 

 


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