2010年12月 1日

 

大空に伸び傾ける冬木かな     高浜虚子

 

(おおぞらに のびかたむける ふゆきかな)

...........................................................................................

常緑樹でも落葉樹でも、冬の樹木を総称して冬木と言うが、

どちらかというと、葉を落として幹や枝々があらわになった

落葉樹の方が冬木というにふさわしい。

大空に広がるように枝を張る冬木。

冬の青空を背景に立つ大樹が見えてくる。

客観写生を説いた虚子。この句は一見、冬木のありようを

素直に言葉で写し取った客観写生のお手本のようであるが、

「傾ける」の一語には、ただの客観写生に終わらない奥行がある。

風景の奥に、人間の姿が見えてくる。もしかしたら虚子自身がそこに

投影されているのかもしれない。

客観の裏に隠された虚子の主観。

その奥義を虚子の言葉の斡旋の巧みさに見ることができるように思う。

 

 


Yuki Higano's Official Web Site / Copyright © Yuki Higano / All rights reserved.