2010年11月 7日

 

冬と云ふ口笛を吹くやうにフユ    川崎展宏

 

(ふゆという くちぶえをふくように ふゆ)

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今日は立冬。暦の上では今日から冬になる。

それぞれの季節の立つ頃は前の季節が残っていて、季が変っても大抵

名ばかりという感じがするものだ。それでよく「暦の上では」と言ったりする

けれど、その暦の上がとっても大事。

体感だけで季節を感じていたら、古今集や源氏物語、枕草子など日本文学上の

季節の移ろいにおける豊かな情緒は生れなかったはず。

今日から冬、と思う心が、装いや調度に季節ならではの趣向を見せたり、

目に映るもの、肌で感じるもの、耳に聞こえるものの微妙な変化を気付かせて

くれるのである。

 

掲句、「冬」と言ってもそれは冬の入り口という感じ。句から厳しい寒さは感じない。

青々とひろがる空の下でひとり、「冬」と言ってみる。

「口笛を吹くやうにフユ」

言われてみれば「冬」だけが口笛を吹くように言える。まるで季節の移ろいを確かめる

一人遊びのようで、なんだかとても楽しそうだ。

アの母音が一音もないので、口をすぼめたまま言うことができて一句全体も冬使用と

いう感じ。「フユ」の表記もやがて吹き来る北風のヒューという音を思わせる。

表記や音に注目して見てもとても楽しい一句である。

 

 


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